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WAGO のスプリング技術

ドイツWAGO社の開発したケージクランプ®は、独自の形状を持つスプリングと導電板の組み合わせによって、電線の導体をスプリング圧で導電部に直接接続する結線方式です。このケージクランプは全く新しい発想によって生み出された結線方式で、接続の際には圧着端子もネジも必要ありません。1952年創設以来、世界各国のあらゆる分野で使用され、IEC、UL、CSA、VDE等、各国の規格で承認されています。

結線作業時間の短縮・省力化

簡単結線

ケージクランプ® 結線方式は特殊な工具を必要とせず、単線・より線とも、むき出した電線を直接結線できるので圧着端子は不要です。ネジを使用しないので、ネジの脱落や締め忘れもありません。
単線・フェルール圧着線を差し込み結線ができる Push-in CAGE CLAMP® 方式、ドライバ操作で結線できる CAGE CLAMP® 方式、185 sq まで対応の Power CAGE CLAMP® 方式、と電線サイズや用途によってケージクランプ® の結線方式は多種になります。
結線の操作方法も、定番のドライバ操作タイプ、工具不要の手だけで結線できるレバー操作タイプ、ボタン操作タイプなど、ラインナップが豊富です。

結線方法(ドライバ操作タイプ) ※画像は CAGE CLAMP® 方式

  • step1

    ドライバを操作用スロット(角穴)に差し込みます。正しく差し込むと、ドライバは保持されます。

  • step2

    ドライバが保持され、ケージクランプが開いたら、電線挿入口(丸穴)に正しくむき出した電線を突き当たるまで差し込みます。

  • step3

    電線を押えたまま、ドライバを抜けば結線完了です。

スプリングの可動範囲について

  • スプリング可動範囲その1

    スプリングの開口部(ケージ)の上縁が導電部の上面に当たる。

  • スプリング可動範囲その2

    ハウジング内に設けられたスプリング・ストッパーに当たる。

上記により、スプリングの可動範囲は二重に制限されますので、弾性限界を超えることはなく、変形や損傷がありません。

ネジ式との違い

100回の結線を行った作業時間の平均値

100回の結線を行った作業時間の平均値
(当社試験値。条件等により数値は異なります)

ネジ式結線では作業者によって締め付け力が異なる上、同じ作業者でもバラツキがあります。ケージクランプ®の自動クランプ機能なら、熟練作業者でなくとも簡単に良質な接続が可能です。また、通常のネジ式端子台に比べて結線時間を約4分の1*に短縮できます。(右図参照)電動ドライバを使った場合と比べてもケージクランプ式の方が結線時間は短くてすみます。圧着、ハンダ付け等の端末処理時間も含めれば、さらにその差は広がります。 ケージクランプ®は小型・軽量でかさばる圧着端子も不要。省スペースを実現します。

作業の合理化・
信頼性の向上

末端処理の合理化

末端処理の合理化
  • 1.単線
  • 2.ストランド線(IV7本より線)
  • 3.より線
  • 4.フェルール付より線

電線を選ばず、特別な末端処理をせずに、電線の被覆をむいてそのまま結線できます。もちろん先端をハンダ付けや端子を圧着した電線でも同様に結線できます。国際規格IEC60204-1(機械類の安全性)では「クランプユニット毎に電線1本づつ」が規定されています。

電線径に応じた自動調整機能

電線径に応じた自動調整機能グラフ

ケージクランプ®は、電線径に応じて自動的にクランプ力を調整します。電線が太いほどクランプ力は強くなり、電線の変形や動きに対してもスプリングが追従するため電線がゆるむことはありません。(右図参照)ケージクランプ®スプリングのクランプ面は平面なので、電線を傷めずに導電部に押し付けます。同じ端子台に異なる太さの電線を接続しても全く問題ありません。

接触部の信頼性

接触部の信頼性イメージ
  • 電線の引抜きに対しては、導体に食い込むのではなく、締め付け力を増すことによって電線を保持します。 ケージクランプはVDEやIECの規格で要求される電線保持力の規定を全てのサイズで満たしています。
  • ケージクランプ®は小さい面積に大きな力(N)を加えることによって、適正トルクで締められたネジ式と比べても同等以上の接触圧力(N/mm2)を得ています。また、一定の接触圧力を保持する為、定期的な締め直しを必要としません。
  • 電線は導電部とまるで一体化したかのように大きな圧力で押しつけられる為、接触部は外気の影響を受けず(ガスタイト=気密性)腐蝕による劣化もありません。また、ケージクランプ®は電線をスプリングの板厚面で押える為、他の差し込み式の板状スプリングと違い、電線に食い込んで傷つけることもなく、圧力自動調整機能とあわせ、ネジ式よりも電線に与える損傷は小さくなっています。
  • スプリングの材質はステンレス鋼(SUS631相当)で、耐腐蝕性に優れ、300℃の温度でも機械的特性に影響なく(ハウジングの材質は-50℃から+105℃までの環境温度下で連続使用可能、*機種により使用温度は異なります)、1000回以上の操作後も問題なく使用できます。また、錫メッキの場合に問題になる、しゅう動硬化、マイグレーション、ホイスカー等の問題もありません。

優れた電気特性、
耐環境性、耐振動性

高容量

接触部の信頼性イメージ

ケージクランプ®は短絡電流に対しても高い許容度を持っています。IEC178(CO)128に基づく短絡電流試験(電流密度120A/mm2=AC1秒)に機能を損なうことなく、合格しています。左の写真はその試験に定められた電流値を連続して通電したところです。電線の被覆は、過電流による発熱で溶け落ちますが、端子台はダメージを受けません。また、ケージクランプ®は導電部に純度の高い電気銅を使用し、接点圧力が高く安定した接触面を形成しています。この為微電流、微電圧でも優れた性能を発揮します。

耐振動、耐衝撃性

接触部の信頼性イメージ

ケージクランプ®は大きなクランプ力を持つ一方で、質量は非常に小さく造られています。また、電線接続時には、優れた重量分配が保たれるよう設計されています。これにより固有の共振点がなく振動・衝撃に非常に強く、電線の損傷や測定可能な接触瞬断が生じません。ワゴはケージクランプ®に、試験条件として最大2000Hz・加速最大20Gの振動を与えています。第三者機関での振動衝撃試験(ケージクランプ®に、試験条件として最大2000Hz・三軸加速度最大各109Gの衝撃・振動を与える試験)にも合格しています。ケージクランプ®は振動を加えながらの引っ張り試験が含まれているVDE0611の振動試験の要求水準も満たしており、電線に引っ張り力がかかっている時に回転力を加える捻回試験にも合格しています。

その他の電気的、耐環境性試験について

ワゴ社は上記以外に、電圧降下、過電流、耐電圧、高周波特性、微弱電流等の電気的試験、高温、多湿、振動、塩水噴霧、亜硫酸ガスほか腐蝕性ガス等の耐環境性試験に関して、各国の規格に基づく試験データを持ち、それらの基準を大きく上回る結果を得ています。

メンテナンスフリー

優れた電気特性を安定して長期間維持し、振動や衝撃に強いので、結線後の保守点検が不要です。ケージクランプ®によって製品や設備の信頼性を向上し、トータルコストを削減できます。製品の輸送時の振動によるゆるみ等に対応するための現地メンテナンスやその人件費等を考えれば節減効果は絶大です。修理、改装の際にも、特別な準備を必要とせずに簡単に行えます。